2009/07/16 17:06:50
前回の続きをお話します。
良い中古ピアノを選ぶポイントについて。
まず、実際に展示されているピアノのなかから選ぶ必要がある、ということです。
中古車を選ぶのと同じで、現品を確認せずに選んでしまうのはかなりリスクが高いです。インターネット販売等でいくら画像が掲載されていても、タッチ(弾き心地)や音色を確認するのは不可能です。
ですので、ご足労はかかりますが、なるべく多くの店に足を運び、展示されているピアノを確認することから始めましょう。
では、ポイントについてご説明します。
まず、<①年式の新しいピアノを選ぶ>ということです。
年式が新しいということは、つまり製品寿命が長い=長く付き合えるピアノ、ということになります。
年式は、良識ある店の場合はプライスカードに表示されている場合もありますが、記載されていない場合の方が多く、一般の方ではなかなか判定できませんので、店員さんに確認すると良いでしょう。
年式が経過しているほど価格が求めやすくなりますが、製造から30年以上経過しているピアノは、寿命を確保する理由から慎重にお選びいただく必要があります。
なかには、輸入ピアノや国産ハンドメイドのピアノで30年以上経過しても十分現役の名器はありますが、再販にあたって修理や調整に相応のコストがかけられてコンディションが整えられており、逆に高価な場合があります。
次に、<②コンディションの良いピアノを選ぶ>ということです。
「コンディションの良いピアノ」とは、品質が良く故障の少ない、タッチや音の良好なピアノです。しかしながら、ピアノのコンディションを見極めることは業界に従事するプロでも難しいことです。
ただ、誰でも目や耳で簡単に確認できることがありますので、次にいくつかご紹介します。
● 外観を見る
大きなキズや変色のあるピアノは、なるべく避ける。
● 店員さんに許可を取った上で、ピアノの上部(フタになっています)を開けて中を覗き込む
異臭やサビ、カビ、またはシミやホコリがあるようなピアノは、往々にして調整不十分のピアノであり、極力避ける。
● 弾いてみる
弾くのに抵抗がある場合は、店員さんにお願いして弾いてもらう。
お子さまが弾く場合は、いま練習している曲を弾いてみましょう。1台弾いただけではなかなか分かりませんが、2台以上弾いてみると、どちらが好きかはお子さまでも判断できる場合が多いです。
そして最後に、<③相性の良いピアノを選ぶ>ということです。
演奏者が「弾きやすい」「音がいい」と思えるピアノと、そうでないピアノでは、演奏者の気分が大きく変わるのはもちろん、演奏そのものや上達まで変わってきます。
前回も書きましたが、ピアノは専門性の高い楽器であり、ピアノの先生や演奏家であってもピアノのメカニズムやメーカーごとの個性をご存じの方は少なく、根拠のない先入観や偏見を持たれている場合が非常に多いのです。
そういった方々に「なぜそのメーカーが良いと思いますか?」とお聞きしても、満足なお答えが返ってこなかったり、特定のメーカーが発信している偏った情報である場合がほとんどです。
ですので、先入観や不確かな情報にとらわれず、ご自分の目と耳で判断した方が、かえって正解となる場合が多いのです。
また、中古ピアノを選ぶ際のタブーについて、お話しします。
まず、インターネット販売品です。これはリスクが高い!良いピアノ選びは画面上では不可能であり、その後のメンテナンス(調律)や品質保証を考えますと・・・お分かりですよね。家屋をインターネットで購入する感覚に近いかもしれません。
また、オークション出展品、これもハイリスクです。個人でなく店舗の出展品であっても、何らかの理由で売れ残っていたり払い下げたいものが多く出展されており、いくら安くても慎重に入札する必要があります。
最後に、まとめ。
● 中古ピアノは現品販売のため、なるべく多くの地元店に足を運び、できるだけ多くのピアノを見て、触れる。
● なるべく年式が新しく、コンディションの良いピアノを選ぶ。
● なるべく相性の良いピアノを選ぶ。
● 保証やアフターサービスの整った店で購入する。
中古ピアノでも、正しく選ぶと現行商品よりもタッチや音の良いピアノが、数多くあります。
皆さまが良いピアノに出逢う参考となれば、幸いです。
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