2008/12/14 17:54:08
・・・前回の続きより。
購入を検討するピアノが決まったら、次は店選びです。
イニシャルコストの比較は、とても大事なことですよね。出来るだけ比較検討したいものです。しかし、もっと大事ことがあります。
まず、11/29でも書きましたが、国内外を問わず正規ディーラーでの信用のおけるブランドで、30%以上の値引きは、まず有り得ません。あったとしても、B級品やチョイキズ品、または展示処分品や流通に長年滞留する型落ち品、あるいは信用のおけるブランドではないのかも知れません。
インターネットや外販催事を主体とし、値引き表示を前面に打ち出した販売をされている業者さんもありますが、これには疑問と懐疑心をお持ちいただいた方が良いかも知れません。
特に衛星都市にお住まいの場合、例えば首都圏の業者さんというと何となく企業規模が大きい=安心でお値打ち感がある、といったブランドイメージを持ってしまう傾向って、ありませんか?これも、ピアノ業界では一概に当てはまりません。
また、ピアノは(楽器全般に言えることですが)メーカーで組み立てただけでは美しい音色や良いタッチは得られません。出荷段階での調整、納品後の調整によって、初めて美しい音色や良いタッチが得られます。
メーカーでは、出荷時に必要最低限の調整のみを施しますので、そのままのコンディションでも弾けない訳ではありませんが、
●鍵盤やオクターブごとの音色のバラツキ(音の硬さ、柔らかさ)
●鍵盤やオクターブごとの音量のバラツキ(同じ力で打鍵したときのボリューム感の差)
●タッチのバラツキ(打鍵後の音の立ち上がりのタイミングや鍵盤の重さ、高さの差)
など、調整が必要な余白を残して出荷されます。
ところが、値引きを優先するお店では、物流コストや調整の為の技術者の人件費の削減の為、まずこれらの調整が実施されません。ご自宅にピアノが届いた後の満足感が全く違ってくるのはもちろん、その後の製品寿命に悪影響を与える結果になります。
この出荷と納品時の調整によってピアノのコンディションは劇的に変化し、良い状態で維持され、心地良い演奏を可能にします。もちろん、ランニングコストも変わってきます。
ここにコストをかけるかどうか、どこまでの調整をするかは、それぞれのお店の判断となります。
メーカー(またはメーカー指定の物流会社)からピアノが直送される場合は、グランドの上位機種を除き、まず実施されていないと考えるのが普通です。インターネットや他地方の外販業者さんの場合、最寄のメーカー物流センターよりピアノが直送されますので、まずこちらも実施されません。
ただし、経験豊かな演奏者や技術者でない限り、万全な調整が施されたピアノかどうかを判別するのは、非常に難しいです。
ですので、然るべき出荷調整がなされているのか、また納品後の保証がどうなっているのか(ピアノがご自宅に届いた後の調律作業は微調整であり、限られた時間と限られた材料・道具での調整となりますので、調整できる範囲は限られています)を、お店の方へよく確認されてはいかがかと思います。
もちろん、姿勢の正しいお店なら、演奏者のリクエストを調整によってピアノに反映しますので、お店と相談して更に理想の音やタッチのイメージに近づけることも出来るかも知れません。
また、ピアノの製品寿命は、量産モデルでも40年以上であり、お付き合いが非常に長くなります。
ピアノは、「気に入らないから次の機会に買い換える」といった消耗品的発想は当てはまらない、かけがえのない文化的財産なんです。お子さまのピアノの場合、独り立ちした後もお付き合いは続きます。
ですので、信用のおける保証とアフターサービスの体制を持っている店かどうかも、非常に重要です。同業者として非常に恥ずかしい実例ですが、チラシ等で「10年保証」を記載しておきながら、実際はほとんどの修理経費をお客さんへ請求する他地方外販業者さんのケースや、定期調律どころか納品後のサービス調律すら来ないインターネット業者さんのケースもあるようで、地元のお客さまから度々お電話などでご相談をいただいています。
話は長くなりましたが・・・
●価格比較を優先して、訪問したことの無いお店でピアノを購入するのは非常に危険
●然るべき調整が施されているかどうかで、ピアノの性能と寿命は大きく変わる
●「メーカー直送」は、ピアノにとって何の得も無い(生モノじゃありません!)
●技術力やアフターサービスの体制を備えたお店選びが大切(その後のメンテナンスを重視し、なるべく地元業者さんで購入する)
ということが、少しでも伝わりましたでしょうか?
毎度つたない長文で、失礼します。
今日も最後までお読みいただき、有難うございました。
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