2009/11/03 12:57:55
美しい音を奏で、人の心を豊かにするピアノ。
親から子へ、子から孫へ、その大切な思い出とともに受け継いでいきたいものです。
今日は、ピアノを末永く愛用していただくために、ご家庭で出来るお手入れの方法を、何回かに分けてアドバイスさせていただきたく思います。
まず、ピアノの故障原因についてお話しします。
ピアノの故障のうちの多くは、使用状態が原因ではなく、実は湿気によるものなのです。
ピアノには、木材や鉄が多く使用されています。湿気を含むと膨張し、木材→カビの原因になり、鉄→サビの原因になります。
そして、鍵盤やアクション(鍵盤の動きを弦に伝えるしくみ)の動作不良やタッチへの悪影響、音色や響きへの悪影響につながり、ピアノの寿命そのものに致命的なダメージを与えてしまうこともあります。
ですので、高温多湿である日本の風土の場合、まずは湿気に対する意識と対策が必要なのです。
ピアノにとって適当な湿度は、40%~70%の範囲とされています。
まず最初に、100円ショップやホームセンターなどで湿度温度計を準備してピアノの近くに置き、ピアノの部屋の湿度の状況を確認して、現状を知ることから始めましょう。
海抜が0mに近く内陸でない地域ほど湿度の影響は受けにくいと思いますが、海抜が高く内陸の地域は湿度が70%を超える頻度が高く、また、雨季、雨や雪の日は湿度に注意が必要です。
雨などの湿度の高い日は窓や戸を必ず閉めて湿気を防ぎ、湿度が適当であり風通しの良い日は、たまにはピアノの上部と鍵盤の蓋を数時間開けて通気してみましょう。
また、慢性的に湿度の高い地域では、除湿機の使用やルームエアコンのドライ運転の使用をお勧めします。
調律師さんにご相談いただき、ピアノ専用の乾燥剤やダンプチェイサー(ピアノ用ヒーター)をご利用いただくのも効果的です。
乾燥剤をご自分で調達される場合は、商品によっては吸湿後、逆に加湿してしまうものがあったり、効果のないものも見受けられますので、十分にご注意ください。
ピアノと同じ部屋で洗濯物の部屋干しをされる場合も、湿気には十分に注意していただきたいです。
ピアノをLDKなどキッチンと同じスペースに設置されている場合、コンロを使用される際は必ず換気扇を長めに回し、湿気が室内にこもらないように心掛けてみてください。
ピアノの上面や周囲に水槽や花瓶がある場合は、場所を移動していただいたほうが良いです。
次に、乾燥について。
過度の乾燥も、外装表面のひび割れなどの悪影響を及ぼす原因となります。
まずは、直射日光。厚手のカーテンを準備し、ピアノに日光が当たらないよう遮光してください。
また、エアコンやファンヒーターを使用する場合、吹き出し風がピアノに直接当たらないように風向を調節してください。
・・・続きは次回で。
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