沼津の今秋ははっきりしない天気が続き、富士の峰もいささかすっきしないように目に映ります。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
さて、今日は楽器としての“ピアノ”の素晴らしさについて、お話ししたいと思います。
以前にお話しました通り、日本は世界でも有数のピアノ大国であり、4世帯に1世帯がピアノを所有しています。
しかし、これだけ普及しているにも関わらず、どれだけピアノを楽器として使用し、楽しむことができているかとなりますと、多少の疑問を感じております。
ですので、あえて“ピアノ”の素晴らしさについてご説明したいと思います。
まず、ピアノの持つ音域。
低音はコントラバスよりも低い音から、高音はピッコロよりも高い音まで、7オクターブ半、88音階を奏でることができます。
この音域に匹敵する楽器はチャーチオルガン(パイプオルガン)ぐらいであり、どの楽器よりも広い音域を持っています。
次に、ピアノの持つ表現力。
そもそも“ピアノ”という名前は、18世紀初めに発明されたピアノが“クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ(強弱のつくチェンバロ)”と呼ばれていたのに由来します。呼び名が長く呼びにくいために“ピアノ・フォルテ”→“ピアノ”と呼ばれるようになった訳ですね。
つまり、消えてしまいそうなわずかな音からオーケストラと張り合える大音量まで、レンジの広い音を奏でることができます。
楽器は、まず適切な音程(ピッチ)を出せるようになるまでが大変なんですが、ピアノは小さな子どもからご老人まで、指の動作だけで適切な音程を簡単に出すことができます。音楽に親しむのにまずピアノが選ばれる理由が、この辺にあるわけです。
また、音楽の3要素であるメロディ、リズム、ハーモニーを同時に表現することができます。ピアノが“楽器の王様”といわれるゆえんですね。ピアノはその大きさから、難しそうで億劫な印象を持たれてしまうこともありますが、先入観を捨てますと、これ以上簡単な楽器は他に無いわけです。
今ではさまざまな楽譜や教則本が販売されていますし、クラシックに限らずさまざまなジャンルの曲が初心者用にわかりやすく解説されていますので、習わずとも独学で弾けるようになる方は大勢いらっしゃいます。
さらに、ペダルや弾き方によって、柔らかい音、硬い音、すんだ音、こもった音・・・いろんな音色をつくり出すことができる楽器です。
最後に、ピアノの持つ個性。
年代や生産国、メーカーやブランド・・・ピアノには、じつに多くのバリエーションが存在します。
過去、日本のピアノ市場はメーカー先導で開拓され、ヤマハやカワイが圧倒的シェアを誇っていました。現在では流通網の整備により、これらの国産大手メーカーに加え、世界のピアノ、また中古再調整ピアノなど、多くの選択肢があります。
ピアノは時代や国柄、生産者のポリシーの違いによって、音色や弾き心地、デザインは大きく異なります。
堅い音、柔らかい音、太い音、繊細な音。軽いタッチ、弾き応えのあるタッチ。オーソドックスな黒の箱型のデザイン、インテリアにマッチする美しいデザイン、伝統や文化を感じさせる工芸品のようなピアノ・・・。
ピアノの個性についても、今まで見たり聞いたりした先入観を捨てて、ご自分やお住まいに合ったピアノを納得がいくまでじっくり探すことが大切です。ピアノを探す楽しさ、選ぶ楽しさは、ひょっとしたら一生に一度しか味わえない、格別な楽しみではないかと思います。
つたない長文となりましたが、今日はこの辺で。