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前回の続きです。

では、ベートーヴェンの人物像について。
次のようなエピソードがあります。

●身長は167cmぐらいの小柄(西洋人にしては)で、筋肉質のがっしりした体格であった。
●肌は浅黒く荒れていて、ハンサムではなかった。
●親切で無邪気かと思えば、激しく怒りだしたりと、感情の起伏の激しい人であった。
●情愛の深い人であったが、ケチで非社交的、頑固、ドSな性格であった。
●神経質で風呂と洗濯を好んでいたが、部屋は散らかっていた。
●生涯で70回以上の引越しをした。
●川魚とコーヒーを好み、コーヒーは決まった数量の豆(60粒だったそうです)を数えて飲んでいた。

やはり、天才と変わり者は紙一重、というところでしょうか?

20代後半より始まった難聴が悪化し、晩年の約10年間はほぼ聴こえない状態であったそうですが、これに加えて慢性の下痢と腹痛に悩まされていたそうです。

残されていたベートーヴェン本人の毛髪から通常の100倍近い鉛が検出されており、体内に相当な量の鉛が蓄積されていたことがわかっていて、これが難聴や体調、精神状態へ悪影響を及ぼしていたとも考えられています。

この体内の鉛は、重工業化が進み公害汚染されていたライン川の川魚や、中世ヨーロッパで食品添加物として使われていた酢酸鉛などが原因ではないかと言われています。ベートーヴェンの難聴は人災でしょうか?


次にベートーヴェンの作風とピアノとの関係について。

ベートーヴェンは、ピアノ音楽を大成させた作曲家です。幼い頃に父親に叩き込まれたピアノへの愛着と、当時の市民革命によるピアノの市民層への普及、産業革命によるピアノの構造的な発達によって、ピアノをフィーチャーした多くの作品が生み出されました。ちなみに、ベートーヴェンの138作品のうち、65作品がピアノのための作品です。

ピアノは、バロック期にチェンバロの発展型として発明されましたが、当初は楽器として構造や性能が貧弱であり、バッハの時代には音楽家に認めてもらえませんでした。古典派の時代になり、構造や性能が飛躍的に進化し、ようやく音楽家に広く演奏されるようになったのです。

また、古典派音楽の集大成ともいえる、完成度の高い9曲の交響曲を生み出し(第3番「英雄」、第5番「運命」、第6番「田園」など)、交響曲に初めて歌を導入する(第9番「合唱」)など、後世の音楽家に多大な影響を及ぼしました。


最後に、ベートーヴェン作品の魅力について。

ベートーヴェンは、初めて自分の為に作曲した音楽家であると言われています。バッハやハイドン、モーツァルトなど、それ以前の音楽家は王族や貴族、またはスポンサーの依頼によって作曲していましたが、ベートーヴェンは自分の喜びや悲しみ、怒り、苦悩といった感情を、自分のために作品で自由に表現しました。

それまでの風景や思想、宗教をモチーフにした崇高な音楽より、一人の音楽家の生々しい等身大の感情を表現した音楽を世に現したのです。

いわば、現状を打開しようとする強い感情を高い芸術性でストレートに表現した、クラシック時代の“ロック”だったのです。



ベートーヴェンの時代のピアノ
ブロードウッド(イギリス)製

ペダルが発明された当初のピアノで、今とは違って脚に「逆ハの字型」につけられています。

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